情熱ケミストリー エピソード2「蛍ヶ丘保育園(静岡市)乳児棟建設プロジェクト」

Introduction

「総合街づくり企業」として、あらゆるシーンの街づくりに携わっているヨシコン。マンション・住宅地開発、市街地活性などとともに、暮らしに欠かすことのできない施設にも力を注いでいる。今回お届けするのはその一つ、子育てを支える保育園建設についてのエピソード。一日をそこで過ごす子どもたちにとって、安全・安心で快適であることを大前提に、見守る保育士や保護者にとっても「気配りが行き届く空間とは何か?」が、大きな課題となる。
子育てにかける情熱と理想を伝える園長と、それらを余すところなく受け止めた設計士との間に、どのような化学反応が起こったのか。2人に話を聞いた。

増田 詠美

増田 詠美 エンブルマネジメント事業本部
エンブルマネジメント部
プランニング課

堀江 まゆみ

堀江 まゆみ 社会福祉法人 夢殿会
蛍ヶ丘保育園 園長

保育の現場で
求められるものを、
理想の形へ。

堀江

平成20年頃より、低年齢から保育園に預けて就労する家庭が増え、乳児の保育需要が多くなっていました。静岡市葵区新間地区でも待機児童がおり、当園でも今ある園舎では手狭になってきているため、歩行が完了するまでの子どもたちがのびのびと安心して快適に生活できる乳児棟を作りたいと考え、今回お願いすることになりました。

増田

私は入社後、営業職などを経て設計担当2年目です。普段はマンション中心の設計を行っているため、保育園の設計は初めて。「0歳児にとっての安全とは何だろう?」というところからのスタートでした。今まで手がけてきたマンションや一般住宅とは違うものが求められていると強く感じました。

堀江

保育園の設計は初めてと聞いて、他の保育園を見学して下さいとお願いしました。8カ所ほど見学に行ってもらいましたね。実際に保育の現場を見ていただき「新しい園舎にはこういうものが欲しい」「ここを見てほしい」と、壁や棚の高さ、形状、用途などをお伝えしました。子どもたちにとっては一日の大半を過ごす「おうち」ですから、安全で快適であることはもちろん、保育士や保護者の方々にとって使いやすい、そんな理想を実現したかったんです。

街に新たな風を吹きこむ
32区画を造成中。

緑豊かな自然に囲まれた蛍が丘保育園様の東側には今、ヨシコンが32区画の宅地を新しく造成しています。
宅地面積5,407.82㎡(1,635.86坪)、公園面積272.74㎡(82.50坪)、総開発面積7,164.98㎡(2,167.40坪 ※6m道路・調整池含む)。 閑静でいて市街地等への利便性もいい、子育てにもぴったりの環境は、これから新たな暮らしを築いていこうとする家族にとって、ますます注目のエリアになるはず。新たな街のストーリーを、ヨシコンが語り始めています。※面積等は、開発許可図面による。

安全面・発達面。
使う人、育てる人にとっての
「必然」。

増田

他の保育園を見学に行くまでは、説明を聞いても漠然としたイメージしか描けず、エントランスに棚が必要と言われても「何用なんだろう?」と疑問に思っていました。でも、お母さんたちが朝、お子さんを連れて登園し、荷物を置いておむつ交換をするために沐浴室へ連れて行く――その流れを見て初めて、その場所に棚が必要な理由が具体的な形として理解できました。同じように、入り口の鍵やコンセントは子どもの手が届かないように、しかし大人には使い易いよう床から130㎝。一般の家庭ではまず見ないその位置は、先生たちの気遣いによる「必然」だと気付いたんです。

堀江

収納については見えない部分、例えば成長とともに使わなくなる簡易ベッドなどを畳んでしまえるスペースに至るまで、細かくお願いしました。おむつ交換も0歳児は1日一人5~6回するので、おむつ交換・沐浴・着替え・洗濯という動線を考えた上で、水廻りを作っていただきましたね。他にもサッシの手前の柵は、安全面で赤ちゃんが窓から外に出ないためですが、発達面ではつかまり立ちに必要なもの。そういうことも含めて、増田さんに理解していただけてうれしかったです。

増田

あらゆる場所の高さを、メジャーで測って決めましたね。何が一番この場所に合うか考え、こちらから提案させていただくこともありました。テラスは当初、全部ウッドデッキの計画でしたが、夏にはプール遊びをするということで、半分を人工芝にしました。0歳児にも優しい、人工芝の毛先がチクチクしない毛足の長いものを選ぶ予定です。

堀江

新しく取り入れたものには、床暖房や太陽光発電がありますが、こちらも赤ちゃんが床で快適に過ごせるようにお願いしたものです。増田さんからのアイデアで、トイレの手洗いに遊び心があるデザインのものを入れてもらいました。ワクワクする色で、きっと子どもたちも喜ぶと思います。

増田

今の園舎が、自然な木の暖かみのある雰囲気なので、新しい園舎も床に無垢材を使うなど、イメージを合わせました。それに加え、子どもたちが過ごす空間ということで少し遊び心を加えてもいいのでは…と思い、手洗い場に、かわいい木の形をしたシンクをご提案しました。ナチュラルな感じを損なわず、ソープも置けるので、先生たちにも使い易くなっています。

保育園から学ぶ、
ユニバーサルデザイン的観点。

増田

今回初めて、設計から監理まで一貫して携わりましたが、私もたいへん勉強になりました。マンションでも時々、お客様から部屋にスロープを付けてほしい、間取りを変えてほしい、というご要望があるので、保育園の設計で学んだユニバーサルデザイン的な観点や考え方が反映できると考えています。もちろん、別の保育園に関わることになった場合にも、さらにいいものができるよう、努力したいですね。

堀江

子どもたちの様子が見えるよう引き戸になっているところや、部屋をパーティションで仕切ってオープンにできるところなど、保育園らしい仕様は、きっとマンションにも活かせるでしょうね。今回、育児が丁寧にできる園舎をつくっていただいて、本当にありがたいし皆さんに来ていただきたい。他の園の先生にも「ヨシコンの増田さんが設計したのよ」と教えてあげたいですね。

一つのケミストリーが、
関わった人すべてを支える奇跡。
街が人を育て、
そこから未来が巣立っていく。